オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
それはさておき。
「おい、ちんくしゃ、やっと本気になってくれて、俺も打ち負かし甲斐があるぞ。愛菜ちゃんは渡さない。目にもの見せてくれるわ!」
ルール説明もこれからだというのに、先走った竹山は、宣戦布告とばかりに噛みついてくる。
1月の末以来、久しぶりに会い、こうして顔をつき合わせているわけなのだけれど、ちんくしゃ呼ばわりされても腹も立たなければ、好きに言ってくれ、とあたしの心は妙に落ち着き払っているのだから、なんだか不思議な気分だ。
むしろ、ライバルとして認めてくれたがゆえの「カッパハゲ」発言が、今さらながらやけに嬉しく思え、頬が勝手にニマニマしてしまう。
「よっ、余裕じゃねーか……っ!」
「そういうわけじゃないよ。あたしの中で、全部に覚悟が決まったってだけのこと。それに、これでも竹山にはすごく感謝してるのよ。こんな場まで出てきてくれてありがとうね」
「なっ……!なんかムカつく!」
「ふふっ」
ほんと、竹山には感謝なのだ。
葉司……いや、ここでは愛菜か、もそうなのだけれど、急に告白大会をすることになったのにも関わらず、こうしてあたしにつき合ってくれているのだから、一言くらいお礼を言っておかなければ、罰が当たってしまう。