オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
一緒にお風呂に入ろうでも、学生結婚をしようでも、あたしはどちらでも大歓迎だし、むしろイエスという選択肢以外はないのだ。
さあ。さあ、どーぞ!
そうして、今か今かと待っていると……。
「実は俺、オトコのコなの」
「……は? うん、そうだよね」
だいぶ言いにくそうだったし、勇気を振り絞った顔であたしを見つめているのだけれど、どんなに重大なカミングアウトなのかと思いきや、葉司の口から発せられたのは、至極当たり前のことで疑いようのないことだった。
けれど、少し拍子抜けはしたものの、笑って頷くあたしとは対照的に、相変わらず緊張がほぐれる気配のない葉司はどこかおかしい。
「いや、マコ。ちゃんと聞いてね」
「ん? うん」
そうして念を押されて、あたしは改めて座り直し、さらに聞き漏らすまいと身を乗り出した。
それを確認すると、葉司は再度、口を開く。
「実は俺、“オトコのコ"なのよ」
「……は、はあ」
……あ、あれ。
あたし、酔っぱらいすぎちゃった?
ちゃんと聞く体勢を取ってみても、やっぱり葉司の言うことは当たり前のことで、見た目も声も着ている服も、葉司は男の子。
どこも疑いようがない。