オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
葉司も最近、オトコの娘カフェと掛け持ちしていたファミレスのバイトをやめ、できるだけ、あたしとの時間を作ろうとしてくれている。
そんな優しすぎる葉司との時間を、たとえ1秒たりとも茨城先輩の話には使いたくない。
ゆえに、ほんっと可愛くないのだけれど、葉司には「茨城先輩のことは、もう終わったことだからいいの」と話していて、葉司も触れずにいてくれ、その気遣いに、すごく甘えている。
就活の話はまだ聞いていないものの、葉司だって何も考えていないはずはなく、奈々だって純平だって、みんなそれぞれに真剣に将来を考えはじめる時期に差し掛かっているのだ。
春とは、そういうもの。
親に守られ、子どもでいられるのも、もう残り少なくなってきている、20歳の春である。
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そんなある日のこと。
サッカー部の練習も、オトコの娘カフェのバイトも休みが重なり、前日から葉司の部屋にお泊まりをし、ウッキウキだった日のことだ。
遅めの朝ご飯を食べ、まったりとテレビを見ながら、しかしイチャついていたそのとき、あたしの携帯がけたたましく鳴り、葉司ともども、ソファーから軽く20センチは飛び上がった。