オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
「……あれ、どうしたの、マコ」
「うん。早く“オトコの娘”っていうジャンルが一般化したらいいのに、って思って。そのためには、あたしには何ができるのかなー、とか、ちょっと考えてみてたの」
「優しいね、マコ。ありがとね」
「そんな……。あたしなんて、あまちゃんよ」
そうなのだ。
いうなれば初心者のあたしなど、まだまだあまちゃんであり、自分に何ができるのかを考えたところで、すぐには“これだ!”と明言できることは、残念ながら……何もない。
ひと昔に比べれば、テレビ番組で取り上げられたり、メディアで活躍している人たちの影響によって、いろんな“性”が広く世間に向けて発信されているから、それについての知識や、そういう人たちを知る機会は格段に増えた。
ただ、もっと、もっと……と思うのだ。
1日でも早く、どんな人でも差別されることなく、平和に明るく生きていける世の中になることを、あたしは最近、切に願っている。
「たぶんさ、あたしとか、愛菜の周りの人たちだけが“それでいい”って思ってるだけじゃ、きっと根本的には解決しないことなんだろうね。あたしに何ができるのかは、まだ分かんないけど、もっとやれることを探してみたい」