オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
「それじゃあ、みんなでケーキを食べましょうか。野宮、切り分けて差し上げて。あたしは、その間にシャンパンを配るわ」
「かしこまりました」
ということで、野宮さんが人数分のケーキをお皿に切り分け配っている間、メルさんは、スタッフの娘、数人にも手伝ってもらいながら、シャンパンをグラスに注いで回る。
大好きな人たちに囲まれ、大好きな人と、こうして記念日を迎えられるなんて、1年前のこの日からは、想像さえできなかった。
これもひとえに、辛抱強くあたしの背中を押し続けてくれたみんながいたからだと思うと、どうしようもなく頬が緩み、それと同時に、うれし涙がとめどなくあふれてくる。
「マコ、泣くのはまだ早いよ。せっかく奈々にお揃いのメイクにしてもらったのに、目がパンダになっちゃう。ちょっと我慢してね」
「……ううっ。頑張ってるんだけど」
「ああ、もう。ダメよ、マコ。自分で拭こうとしちゃ……。今、涙、拭いてあげるから」
「ありがど、愛菜」
今日は、あたしのたっての希望で、葉司はオトコの娘姿の愛菜になり、奈々にお揃いのメイクを施してもらっていたのだけれど……ダメだ。
愛菜があんまり優しいものだから、涙が止まるどころか、余計に泣けてきてしまう。