オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
いや、どっちみち、ここへは来るはずだったのだろうけれど、心の準備くらいはさせてほしかった、というのが正直な気持ちだ。
それに、あんなに走らされることもなかった。
ああ、もう、あたしに降りかかってきたこと全部、アズミのせいにしてしまいたい。
「いらっしゃいませ、竹山さん。今日も愛菜ちゃんがお目当てですか? たまにはアズミともお話してくださいよぉ。いっつもヘルプに入っているのに、ちっともお相手してくれないんだもの、いい加減、アズミ泣いちゃう」
「うっさい。黙れブス」
「んもう。竹山さんったら。毒舌ぅ~」
それはそうと、アズミが頑張ってくれているので、とりあえず愛菜のことは彼女に任せ、あたしも奈々とメルさんの会話に加わる。
「あの人、いつから愛菜にご執心なんです?」
「1年くらい前かしら。愛菜が出勤の日はほとんど来ているの。気持ち悪いわ、ホント」
「そうですか……」
愛菜は何も言っていなかったけれど、もしかしたら、以前から、竹山の過剰な愛に何か思うところがあったのかもしれない。
あたしが出しゃばることでは、もちろんない。
けれど、過剰というよりは異常な気がして、愛菜の身のみならず、葉司の身も心配だ。