オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
「でも、竹山がほかのお客さんと違うことはすぐに気づいたから、ああしてヘルプをつけて、とりあえず様子見しているわ」
「そのこと、愛菜には……?」
「ええ、言ってあるわ。けどあの娘、もともとが、“女の子の格好をすれば誰かが優しくしてくれるかもしれない”って思いからはじめたオトコの娘でしょう? あんまり聞く耳を持ってくれないのが実際のところなのよ」
「そんな……」
思わず愛菜に視線を走らせる。
メルさんやアズミが愛菜を守ろうとしているのはもちろんのこと、ほかの娘だって、お客さんの相手をしながら常に竹山の様子に気を配っているのがよく分かるというのに、当の愛菜は、のほほんとした顔で竹山とおしゃべりだ。
竹山みたいな、もしかしたら危ないかもしれない人にまで優しさを求めなくても、あんたはみんなから十分優しくされているじゃないか。
どんだけ飢えているのよ。
危機感を持て!危機感を!!
「まあ、まことちゃんに頼まれたことだし、これからも愛菜のことは気をつけて見ていくつもりでいるわ。……安心してね、とまでは言いきれないのが、申し訳ないのだけれど」
「いえ、ありがとうございます」