犬と私の物語
第一章、片想いと小さな子犬
神奈川県川崎市麻生区下麻の近くにある西柿生中学校。宮下雪というまだ幼さが残る一人の女学生がいた。
昼休み、クラスで一人、席で寝ながら物思いにふけっていた。
「は~・・・」
少し沈んだ横顔にため息をついた。
彼女は現在、中学三年生であり、受験勉強のため毎日の疲れを隠しながら勉強に励んでいた。
「しんどいなぁ・・・」
うつむきながらこれからの将来の事を考えると、自然に気分が沈んでいった。
何故なら、これといってやりたいことがあるわけでもなく、ただ目の前にある受験に受からなければならない。周りもそんな状況だった。全てではないが・・・・・・。
同じクラスに好きな人がいたが、自分から告白する勇気もなく、これで何もしなければこの思いがすべて終わりだと思うと心底悲しくなってきた。
友達こそいるが、明るく活発な子と言うわけではなく、どちらかというと物静かであまり自分から話すという性格ではなかった。