(短編)NOTITLE…
烏の鳴き声が遠くから
聞こえた気がした。
2人の影は東の方に
並んでのびている。
「ねー、葉月」
「…何」
いつもの無表情(かお)。
葉月と頭1個分のくらいの
身長差がある私は自然と見上げる。
…あ。
今、久々に目が合ったかも。
「なに笑ってんの」
「えー?私、笑ってる??」
「うん。…気持ち悪いくらいな」
「ひっ、ひどっ…!」
コツッ
葉月の腕を小突く。
が、彼はスルーし、音楽プレイヤーに
イヤフォンをつなげ、曲を聴き始めて
しまった。
も、もぉー……!!
私は片方のイヤフォンを引っ張る。