黒蝶は闇で輝く
「…では、本会議報告会を始めさせていただきます。」
「よろしくお願いします。」
すっかり日も暮れて、夕食も食べ終わった頃。
御堂組本部兼私の家の離れにて、今日行われた本会議の報告会が開かれた。
参加者は私と、御堂組本部の幹部である、最年長三上さん、お昼に電話で話したシンさん、運転手の桂木さん、そしてもう一人宝崎海(ホウサキカイ)さん。
「相も変わらず、西側の落ち着きがなく、本日の本会議でも他支部にガヤを飛ばすなどをしたため、幹部の1人を残し、西側の者たちは部屋から追い出しました。」
「西側も、知らぬ間に神永に喰われてることに不安を覚えてるんだろうが…今日の本会議を荒らす理由にはならねえからな。」
「あ、シンさん、新しい組員のリストは?」
「はいよ、お嬢。」
「ありがとうございます。」
始まりは桂木さん。いつもの様に丁寧な口調で、でも怒りの感じられる声で淡々と報告してくれる。
次はカイさん。口調は誰よりも乱暴だけど、組を一番客観視出来る人。
二人の報告からもあるように、やっぱり西側の落ち着きのなさは神永組からきていることは間違い無さそう。
西側だって好きで神永に喰われてるわけでもないだろうし、本部からの信頼を失いたくないから必死だろう。
シンさんから受け取ったリストには、西側に最近組入りした人の名前がずらーっと並んでいる。……全部チェックするのは大変そう。
「今のところ、私たちの間では西側の組員の総入れ替え、もしくは本部の人間を何人か介入させようかと話していますが
、三上さんやお嬢はどうお考えですか?」
「私は麗香嬢に合わせますよ。」
「……今、考えているのは」
幹部の人たちの目が私を捉える。
普段は優しい人たちだけど、組のこととなると目つきが変わる。
……緊張感が室内に漂う。