黒蝶は闇で輝く
 


「取りあえず、神永のことは置いておくことにしてもいいですか?まず、西側を落ち着けたいので、新しく西側に組入りした人を各支部で、各支部の見張りとするのはどうでしょうか?」

「下の者に見張らせんのか?」

「一歩間違ったら、流血もんだろ。」

「それはわかっています。だから、そこは西側の人たちの人間性にかけます。下の人間に見張られるのなんていい気はしないと思うから、そこで変な行動をすることはやめるだろうし、見張る側も悪い部分を探そうとして監視の目が厳しくなるはずです。」

「それぞれが高めあっていけるように、ということですね。」



本部の人間は、地方に飛ばせる程数もいないし、いなくなっては本部が困る。
地方は地方で解決してもらうしか策はない。悩みに悩んで、私が出した結論だった。

こうすることで、全体的に落ち着きを取り戻すかつ、ついでに神永の寄生虫を見つけられたら、それはそれでいい。
……慧の案も、実は入ってたりもするんだけど。



「じゃあ、シンが持ってきてくれた資料をもとに、今回の件をより具体的に考えさせていただきます。」

「…桂木さん、よろしくお願いします。」

「他に何か気になることがある者は?」

「特になーし。」

「私も大丈夫だ。」

「じゃあ、終わりっつーことで!」



西側以外には特に何もなかったらしく、一安心。

進行役となっている桂木さんがそれぞれを確認した後、持っていた資料のファイルを閉じたことが合図となり、報告会は終わった。



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