黒蝶は闇で輝く
1章

これが、日常

 


「「「おはようございます!お嬢!」」」

「……もう、並ばなくてもいいって…。」



朝。

広い家の敷地の中、たくさんいるのは男の人だけ。

若い人では私と同じ16歳、一番年上で53歳の人がいる。



「今日は本会議がありますが、お嬢は参加されますか?」

「今日は…確か委員会があったはずだから、多分間に合わないと思う。」

「じゃあ、俺たちで進めておきます。何か伝えておくべきことはありますか?」

「最近、各支部で浪費が激しいみたいだからその辺お願いしたいかな。」

「…シめますか」

「ううん、まだいいよ。……でも、次は無いからね、って言っておいて。」



これは毎朝のことだ。

私のいる御堂組は国内で一番の力を持つ、“そういう”組織である。

日本全国各所に支部を持ち、今や組の直接的な組員は数百名、会ったことがないような組員も含めるともう、数はわからない。

それくらい、大きな組織である。




< 2 / 17 >

この作品をシェア

pagetop