黒蝶は闇で輝く
1章
これが、日常
「「「おはようございます!お嬢!」」」
「……もう、並ばなくてもいいって…。」
朝。
広い家の敷地の中、たくさんいるのは男の人だけ。
若い人では私と同じ16歳、一番年上で53歳の人がいる。
「今日は本会議がありますが、お嬢は参加されますか?」
「今日は…確か委員会があったはずだから、多分間に合わないと思う。」
「じゃあ、俺たちで進めておきます。何か伝えておくべきことはありますか?」
「最近、各支部で浪費が激しいみたいだからその辺お願いしたいかな。」
「…シめますか」
「ううん、まだいいよ。……でも、次は無いからね、って言っておいて。」
これは毎朝のことだ。
私のいる御堂組は国内で一番の力を持つ、“そういう”組織である。
日本全国各所に支部を持ち、今や組の直接的な組員は数百名、会ったことがないような組員も含めるともう、数はわからない。
それくらい、大きな組織である。