赤い糸の約束
三月二十日
平助side
月明かりは気持ちよさそうに眠る月華を照らす。
明日俺は離隊する。
好きで伊藤さんについて行くわけではない。
かと言ってこいつの所為でもない。
お前の所為でもなくためでもなく俺のためなのに、
きっとお前は泣いて自分を攻めるだろう。
なら、楽になれるように泣かせてでも俺を嫌いにさせてこいつの記憶から俺を消せばこいつは幸せになれるだろう。
けど、ごめん…
幸せになってほしいけど、俺を忘れないでいてほしい。
矛盾してるよな?
「離したくねぇー…ッ」
滑り落ちる雫はお前の頬を濡らす。
好きだ、好きだ、
お前の全部がッ
ーチュ
その小さな唇に最後の口付けをする。