赤い糸の約束
「う、そだよね…?」
視線を合わせようとしてくれない平助の頬を包む。
それでも彼は私から目を逸らす。
「なんだ、見送りにでも来てくれたのか?」
扇を揺らしながら高らかに笑う伊藤さん。
その後ろには何故か一もいた。
「さぁ、行こうか、斉藤くん、藤堂くん…」
「「はい」」
二人は返事をする。
平助は私の手から離れて伊藤さんの下へ歩んでいく。
「待ってッ、行かないでッ
平助っ!!」
一度も振り返ってくれない。
優雅に扇を仰ぐ伊藤さんは私を笑う。
「お願いッ連れて行かないでッ、
私から…平助を、奪わないで…ッ」