赤い糸の約束
私は部屋へ戻る前にある場所へ向かう。
あの方々は察しがいい。
きっと今回の計画だって想定内なんだろう。
「芹沢さん、私です」
「月華か?入れ」
「失礼します」
襖をゆっくり開け頭を下げる。
「上げろ」
そう言われて上げるとやはりあなたは察しがいい。
とても穏やかな顔をしておられる。
「膿は此処のために死ねるか?」
その質問に私は何を言えばいいのか困ってしまう。
その様子を見た芹沢さんは「変わったな」と言った。
意味が解からず首を傾げてみる。
芹沢さんはまた微笑んだ。
その表情はとても、優しかった。