タイムカプセル

コウキ

まだ時間は十分にある。
俺は中学校の途中で引っ越しちまったから、電車に乗って今最寄り駅についたとこ。
学校に着くまでの間に俺の自己紹介する。
今日集まるに至った経緯は他のやつらからでも聞いてくれ。

俺は篠田 広輝。本当は「ヒロキ」って読むんだ。
でもちょっとおバカな俺の親友だったヨキが「コウキ」って読み間違えたのがキッカケだった。
ヨキに読み間違えだっていくら俺が言っても「いいだろ、コウキの方がカッコイイし」とかアホなことを言うヤツだ。
でもそういうことでじゃれ合えるヨキを俺は心底好いていた…といっても俺はホモじゃないぜ?
ただ本音で話せるのがヨキくらいしかいなかったんだ。
そういえば女子で特に仲が良かったのはダントツ、アカシだったな。
あいつはサバサバしてて、まるで女っ気がなかったけど、10年経った今でも変わらないんだろうか?

そんな事を考えながら歩いていたら、あっと言う間に学校に到着しちまった。
見ると女子が2人、楽しそうに会話してるけど、一人は間違いなくアカシだろうな。
あいつは時間に遅れるなんて無責任な事は絶対にしないやつだからな。

「おっ!さすが実行委員。はぇ〜な」
楽しそうに話してるっていうのに俺は小学生の感覚のまま、うっかり声をかけてしまった。

あ〜俺って進歩ねぇ〜…空気を読めっ!俺!!
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