指先から、アイ。
「…っ、すき…」
屋上のドアの横の、物置部屋の影に座りこむ。
死角になるから、なかなか見えない穴場スポット。
私は足を抱え込むようにして、座りこんでいて、気付かなかった。
――――背後から近づいてくる影を。
「もう、―――遅いんだけど」
また。
また彼の声。
付いてこないでって言ったのに。
どうしてくるのって。
「どうしてここ―――」
「ここは俺もよく使ってたサボり場所」
「…え」
「知らない?俺ら、会ってるんだよ。ここで」