Ending Note


パパとママの寝室に入って、クローゼットを開ける。



「………?」



パパの喪服を探そうとしていたのに、クローゼットの中の異変に気づいて、あたしは“違うもの”を探し始めた。


クローゼットにもない。

寝室の入り口付近にあるチェストにも、“それ”はなかった。



「……どういうこと?」



荒々しく寝室を飛び出して、今度は浴室に向かう。

脱衣所にあるクローゼットの中を開けて、“それ”を探したけれどやっぱりなかった。


そんなはずはないと、靴箱、別室の押入れ、とにかく家じゅうを引っ掻き回すようにして物色していると、物音を聞いた虎太郎が驚いたようにやって来た。



「姉ちゃん、何やってんだよ。父さんの喪服……」


「――虎太郎、あんた知ってる?」


「え? なに?」



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