Ending Note
「……栗沢……」
うつむいているあたしが視界に入ったのか、裕貴先輩の気まずそうな声が聞こえた。
裕貴先輩と話をするのは、お花見の日のモーニングコール以来だ。
桜の木の写メも無視されて、あの日以降、あたしたちは音信不通だった。
「お、お久しぶりです。元気でした? 先輩」
何事もなかったかのように明るく言ってはみるけれど、声が震えているのが分かる。
「あぁ……。花見、悪かったな。一緒に行けなくて」
「……ほんとですよー。この埋め合わせは、」
“今度してくださいね”
そう言いかけた言葉をぐっと飲み込んだ。
“今度”なんてきっとない。あるわけがない。