Ending Note
食器棚の一番下の引き出し。
ママはいつもそこに、お財布や家の鍵といった大事な物をしまっていた。
ひょっとしたら、虎太郎が探しきれない、友達の連絡先を記した手帳もここに……。
ゆっくりと引き出しを開け、そこに姿を現したのは、見慣れていたベージュの手帳ではなく、ピンク色のハードカバー仕様の1冊の本だった。
「………?」
表紙には金色の文字で“Ending Note”と記されてある。
「……これっ……」
確か以前、テレビで見た記憶がある。
自分の死んだ後のことについて、生前から書き留めておくノート……。
「虎太郎! すぐ来て! ねぇ、虎太郎ってば!!」
あたしは大声で虎太郎を呼ぶ。