Ending Note
「あっ、やばい。あたし、帰らないと! 早く帰ってくるように言われていたんだった」
「千春っ」
「帰ろう、奈瑠美。それじゃあ先輩方、お疲れ様でした!」
これ以上ここにいたら、あたし、何を言い出すか分からない。
感情が高ぶって、平川さんとのことを突っ込みそう。
ひょっとしたら嫌味なんか言うかもしれない。
“あんな酷い別れ方したくせにー?”なんて。
1つ言葉を発するたびに裕貴先輩に嫌われそうな気がして。
あたしは奈瑠美を巻き込んで逃げるようにその場を立ち去った。
学校からの帰り道。
我慢していた涙がどっと溢れて、まぶたが重くなるまで泣きはらした。
あたしと奈瑠美との間に会話はない。
号泣するあたしの背中を、奈瑠美はそっと支えるだけ。
やっと出た言葉は、あたしの家の前での「じゃあね」「また明日」という別れの挨拶だった。