Ending Note
「……初めてのクリスマスですねー。あ、正式に言えばイブか」
学校を出て、裕貴先輩のプレゼントをいくつか抱えたあたしは最初にそう話す。
「それにしても、本当にラーメンでいいのか?」
「もちろん!」
今日の夜は裕貴先輩と一緒にラーメンを食べることにした。
クリスマスイブの夜にラーメン。
オシャレなカフェとかじゃなくて、学校近くのラーメン屋さんを選んだのはあたしだ。
以前、部活の帰りによく加古川先輩と一緒に立ち寄っているって話を聞いたから。
裕貴先輩が「すっげーおいしい」と絶賛していたラーメンを、あたしはまだ食べたことがなかったから、それなら一緒に……って思ったのだ。
「あ、ちゃんとお母さんに許可取った?」
思い出したように訊く裕貴先輩。
普通なら一家の大黒柱でもあるパパなんだろうけど、どうにもママの印象が強すぎて、親の話題になるとまず、ママが出てくる。
「うん、大丈夫」
先週、ママにイブの夜は裕貴先輩と一緒に食事をすることを伝えたら、
“キスまでは許す”
なんて、訳の分からない答えが返ってきた。