Ending Note
あたしの家に到着して「ただいま」と声をかけると、ママがいつものようにお出迎え。
「おかえりー。あらま、息子よ」
あたしの後ろにいた裕貴先輩の姿を見るなり、ママはとんでもないことを言う。
「む、息子って! 違うでしょ!」
「え? あぁごめん、“将来の”息子でしたわね」
「…………裕貴先輩、無視してください」
本当なら家の前で「じゃあね」と別れてもいいのだけれど、裕貴先輩は毎回、“ちゃんと送り届けました”という意味も含めて、ママに挨拶をして帰る。
こういう礼儀正しいところをママはさらに気に入って、ますます裕貴先輩のことが好きになったようだ。
「今日の夜、千春さんをお借りしますので。20時には帰ってきます」
「20時ね。せっかくのイブだから“泊まってけー!”って言いたいところだけど、あんたたちまだ未成年だからね」
常におふざけ満開のママだけれど、こういうところはきちんとしている。