Ending Note


「……よかったのかな、今日誘ったりして」



家を出てすぐ、裕貴先輩が思い悩んだように口を開いた。



「え? なんで?」


「いや、お母さん……ごちそう作っていたんじゃないのか?」


「あぁ……大丈夫です。毎年、家族で過ごしていたし。ママのことだから、裕貴先輩よりも家族を選んだら蹴り入れられるかも」


「あのお母さんならやりかねないな」



苦笑しながら、裕貴先輩はあたしの手をそっと繋ぐ。



“キスまでなら許す”



突然ママの言葉を思い出して、一気に顔が火照る。



「……どうした?」



黙り込んだあたしの顔を裕貴先輩が覗き込めば、あたしはその口元にしか目がいかない。



「あっ、いえいえ、何でもないです」



< 181 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop