Ending Note
……あんなことママが言うから。
いまだにキスさえしていなくて、ただ手を繋ぐだけのあたしたち。
奈瑠美は「クリスマスがチャンス!」って1人で盛り上がっていたけど。
本当にそうかなぁ。
キスする雰囲気にすらなりそうもない。
「いらっしゃい! おー、裕ちゃん!」
ラーメン屋の引き戸を開けると、店長さんらしき50代くらいのおじさんが気さくに声をかけてくる。
顔なじみになるくらい、ここに通っていたのか。
「なに、彼女?」
「かっ……」
“彼女”という言葉にドキッとする。
確かにあたし、そうだけれど……。
初対面の人から何の躊躇もなく言われると変に緊張してしまう。
「はい、彼女です。千春といいます」
裕貴先輩も堂々と、あたしを“彼女”だと紹介してくれる。