Ending Note
しばらくして、「はい、おまたせ」という声とともにラーメンの入った丼が2つカウンターに置かれた。
あれ。まだ注文してないのに。
「あ。栗沢、おまえも俺と同じのでよかった?」
「えっ?」
「俺、いつもチャーシュー麺って決まってるから、つい……」
「いえいえ、裕貴先輩がいつも食べて“おいしい”って言ってるラーメンを食べてみたかったので大丈夫です!」
とろけるようなチャーシューが5枚並んだ、とんこつ味のラーメン。
あたしは「いただきます」と手を合わせたあと、まずスープを飲む。
臭みのない濃厚なとんこつ味のスープに感動してしまった。
「うわ、おいしい!」
思わず声を漏らしたあたしに、おじさんは「ありがとう」と照れたように笑った。