Ending Note
ラーメンを食べ終えてお店を出たのが19時半前。
たった2時間のデートだったけれど、僅かでも一緒に過ごせたことが素直に嬉しい。
「これから勉強ですか?」
「うん。そうだな。もうラストスパートだし」
裕貴先輩は地元の大学を受験することになって、遠距離恋愛は避けられた。
滑り止めも地元の大学。
それを裕貴先輩から聞いて、いちばん大喜びしたのはあたし……じゃなくてママだった。
どんだけお気に入りなんだか。
「あれー? 裕貴ー?」
あたしの家に向かって歩いていると、後ろから裕貴先輩のことを呼ぶ女の人の声が聞こえた。
裕貴先輩とほぼ同時に振り返ると、1組のカップルがそこにいて、彼女のほうがにこにこ笑いながらこちらに手を振っている。
「あ、梨緒」
さらりとこぼれたその名前は、裕貴先輩の元カノだ。