Ending Note
――4月。
3年に進級したあたしは受験生活のスタートラインに立つ。
2年になった虎太郎はのんびり屋のあたしとは違って塾に通い始め、受験勉強に備え始めている。
裕貴先輩は第一志望の大学に無事合格して、受験生だったころに比べて会う回数がグッと増えた。
……しかも週に3回は確実に会えている。
というのも、ママが裕貴先輩にあたしの家庭教師をお願いしたからだ。
もちろん、ただ働きじゃない。時給1,200円のバイト。
“バイト代も入って、千春にも会える。どうよ、このおいしいバイト”
ドヤ顔で言うママに、裕貴先輩はすっかり乗せられて即行で引き受けた。
バイトの時間は2時間。
2時間もあたしの部屋で2人きり……
なんて、そう甘くはなかった。
勉強場所は、ママの監視の目が行き届くリビング。
しかも、それを提案したのは裕貴先輩だった。