Ending Note
「だからね? ママの作戦なんて1つも実行できてないのよ」
「そうねぇー。こないだ言った、わざとぶつかって印象付けるってのも、“あいつ、わざとじゃね?”なんて陰口叩かれそうだしねぇ」
深刻そうな顔で言っているけれど。
そんな一昔前のマンガに出てくるようなことできるか! って思って、あたし、やってないんだよね。
しばらくのあいだ、あたしのスマホに保存された裕貴先輩の写真と睨めっこしていたママが何かを思いついたらしく、にたりと笑みを浮かべた。
「なに? 何か思いついたの?」
藁にも縋る思いで食いつくあたしに、ママは言う。
「べつにー? 裕貴くんがもう少し早く生まれていたら、ママ、絶対落としたのになぁーって」
………期待していたあたしがバカだった。