Ending Note


その日のお昼。

高校も一緒になった中学からの親友・奈瑠美とお弁当を広げたとき。



「……あの女」



思わず、お弁当のフタを床に投げつけてしまいそうだった。



“本日、母上は所用がある故、忙しいのでござる”


そう書かれたメモと1,000円札が1枚、お弁当箱の中に入っていた。



「わざわざ書道用の筆出して書くヒマがあったら弁当作れよっ!」



このメモが百歩譲って筆ペンであったのなら、まだ許せた。

なのにこの字は……、墨汁に染み込ませた筆で書かれた上に、しかも紙は書道で使う半紙だ。



「相変わらず千春のお母さん楽しいねーっ」



ヒトの不幸を楽しむかのように奈瑠美は笑う。



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