Ending Note
ママを病院に送り届けたパパが家に帰ってきたのは夕方だった。
夕食の席で、パパが言う。
「……先生に言われたよ。この先、余命を待たずにお母さんの容体が急変する場合もあるから、覚悟しておいてくださいって」
あたしと虎太郎の箸がぴたりと止まった。
もう、そういうことなんだ。
余命2週間という状態は。
「だから、すぐに連絡が取れるようにしておくんだぞ」
「……うん、分かった」
頷く虎太郎の隣で、あたしはポツリと呟く。
「余命、延びるよ。短かったけど、家に帰って来れたから」
けれど、パパも虎太郎も何も言葉を返してはくれなかった。