Ending Note
普段、虎太郎からあたしへの連絡手段はメールだけだ。
電話を掛けてきたことなんか一度もない。
スマホはしつこく震え続ける。
――……ちがう。“そういう連絡”じゃない。
何度も自分に言い聞かせながら、あたしはひたすら無視を貫く。
あまりにもしつこく掛かってくる電話に、とうとう裕貴先輩が言ってしまった。
絶対に、認めたくない現実を。
「……お母さんに何かあったんじゃないのか?」
“何か”って、なに?
容体が急変するかもって、確かに先生が言っていたらしいけど。
そんなにすぐに、急変するわけない。
ほんの2日前に家に帰って来ていたんだから。
余命だって、まだ2週間もあるんだから。