Ending Note
あたしの手と大きな手は同じサンドイッチを取ろうとしていて、触れるか触れないかのタイミングで、ほぼ同時に互いに手を引っ込めた。
「…………っ!」
この大きな手は男子。
男子のくせにサンドイッチ?
そんな偏見で、サンドイッチ男子の顔を拝んでやろうと大きな手を辿っていったあたしは思わず息を呑んでしまった。
「あ、わりぃ」
すまなそうに低い声であたしに謝ってきたのは、“声をかけるのさえも恐れ多い存在”の裕貴先輩だった。
「はっ、いや、悪いのはサンドイッチ……っ」
緊張のあまり、自分でも何を言っているのか分からない。
「ど、どうぞ、全部持ってっちゃってくだされ!」
“くだされ”?
“ください”だろ、自分。