Ending Note


――千春、虎太郎。

謎だらけの宝探しはどうでしたか? 少しは落ち着きましたか?


私が死んで大泣きしているだろうと思って、気分転換の意味も込めてこんなことをしてみました。

(もし、大泣きどころか大喜びだったら、それは大変失礼しました)



ここにあるすべての箱を開けたあなたたちが、いま一番分からないことは、おそらく私が精密検査を受けなかったことでしょう。

(精密検査のことは、お父さんから聞いているよね?)



実は、隣町の、これまで行ったことのない病院で精密検査を受けました。

そのときに、腫瘍が悪性であることが分かりました。

レベルはステージ2。

手術をするという話が出た時に、私の頭の中に2つの分かれ道ができました。



1つは、手術をして克服する道。

もう1つは、このままスルーしようという道。



私は迷わず、後者を選びました。



肝臓ガンは、手術で取り除いても再発が多いそうです。

もしも再発して入退院を繰り返した挙句、余命宣告を受ける羽目になったら、私はきっと後悔する。……そう思ったのです。



< 292 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop