Ending Note
助かる確率と、死ぬ確率。
どちらが高いのかは、神様だけが知っていること。
大きな賭けだったけれど、
私は、あの家で、あなたたち大切な家族と普段通りの生活を続けたかったのです。
その一方で始めたのが、“死ぬ準備”でした。
これから先、あなたたちと一緒に準備するであろうもの(スーツや着物など)を、出来る限り揃えました。
いくつかの葬儀会社の内覧会を見に行って、いずれお世話になる葬儀会社を決めました。
そして、静子に……私の洋服などの持ち物の処分をお願いしました。
なぜ、1つ残らず処分を……しかも、あなたたち家族じゃなくて、静子に頼んだのか分かりますか?
きっと、あなたたちには処分できない。
私の形見だと言って、いろんな物を手元に置いておくでしょう。
でもね、私の形見は、千春、虎太郎、あなたたち2人です。
私の物を「形見」だと後生大事に持っているよりも、自分たちそのものを私の形見だと思って、命を大切にしてほしいのです。