Ending Note
「渡辺さんって、水町商店街の八百屋さんだろ?」
学校を出て、最初に口を開いたのは裕貴先輩だった。
17時に間に合うように、あたしたちは……いや、あたしだけが全速力で走り、裕貴先輩は軽い足取りで余裕たっぷりに走っている。
「は……はい……っ、そう……ですっ」
もともと運動が苦手なあたしは走ることが一番嫌い。
そんなに長い距離を走ったわけじゃないのに、もうすでに息が上がっている。
「確かにあそこのおばさんはうるさいよな」
ははは、と笑う裕貴先輩。
小学校から一緒で、同じ地域に住んでいるから、渡辺さんの奥さんの噂は裕貴先輩も知っているようだ。
「俺、対処法知ってるから歩こうか。きついだろ?」
「は……っ、はい……」