Ending Note
「なに? 栗沢さんの奥さん、このスイカ買ったんだけど」
あたしと、おそらく裕貴先輩も、呆気にとられたような顔をしていたんだろう。
無理もない。
ママが言っていたスイカとは程遠いサイズなのだから。
「おばさん、預かって頂いてありがとうございました」
スイカを受け取って、あたしは深々と頭を下げる。
「ねぇ、千春ちゃん。お母さんに言っておいて。次からはちゃんと約束した時間に、」
「おばさん、本当にすみませんでした」
渡辺さんの奥さんの嫌味を遮るように裕貴先輩が口をはさむと、
「あらぁ、いいのよいいのよ」
洗脳されたかのように、渡辺さんの奥さんはニコニコと笑った。