Ending Note


帰り道、手提げのビニール袋に入れられた小ぶりな3個のスイカを裕貴先輩が持ってくれた。


……先輩、荷物まみれだ。

教科書やノートが入っているカバンに、部活で使う練習着が入っていると思われるスポーツバッグ、そして、スイカ。


それに比べてあたしは、カバンひとつ。


どう考えてもあたしが持つべきだと思ったのに、裕貴先輩は、



“ヘルニアが悪化するぞ”



と言って、それを許さなかった。



裕貴先輩は時折、額からうっすらと滴り落ちる汗をハンドタオルで拭う。



「……先輩、すみませんっ!」




あたしと裕貴先輩を少しでもいい雰囲気に持っていきたいがために、ママがついた嘘。

その嘘のせいで、裕貴先輩が大変な思いをしているこの現状に耐えられなかった。



嫌われてもいい。


その覚悟で、あたしは裕貴先輩の手からスイカの入った袋を奪い取った。



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