Ending Note
一歩間違えれば、あたし、間違いなく拒絶されてしまうのに。
「母に、よく言っておきます。今日は本当に……」
「もういいって。俺、別に責めているわけじゃないから」
苦笑する裕貴先輩に、あたしは小さく一礼する。
「家、どっち?」
再び歩き始めてさしかかった十字路で、裕貴先輩が立ち止まって訊く。
「すぐそこなので、ここで大丈夫です」
これ以上、家まで送り届けるのは本当に申し訳ないと思って、あたしは丁重にお断りした。
「じゃあ、気を付けて」
「はい、先輩も」
くるりと踵を返した裕貴先輩の後ろ姿を見送るつもりで、その場に突っ立っていると、突然裕貴先輩が振り返った。