Ending Note
「しかしまぁ、あの加古川くん、きちんと空気が読めるおりこうさんね」
エプロンを身にまとい、夕食の準備をしながらママが感心したように言う。
「まさか、加古川先輩を買収したわけ!?」
「あら人聞きの悪い。ママはなぁんにもしてないわよ? ただあの子、途中からママの作戦に気づいたみたいでニタニタ笑い始めてねぇ」
「は!? じゃあ加古川先輩にもバレたってこと? あたしの気持ち……」
「そういうことになるわね。でもよかったじゃない。裕貴くんの親友でしょ?」
……親友だからってあたしに協力するわけないでしょ。
「ほら、2,940円。忘れないうちに渡しなさい」
何なのよ、これじゃあまるでカツアゲと一緒じゃない。
悪態をつきつつも、カバンから財布を取り出して、ママに3,000円手渡す。
「まいど~。60円のお釣り~」
ママは楽しそうに60円を返すと、台所に向かう。