Ending Note
ママが仕組んだ“スイカ事件”。
あれ以来、あたしと裕貴先輩は学校で会うと少しだけ話をするようになった。
とはいえ、もうすぐ夏休み。
ようやく進展したというのに、1ヶ月半も顔を合わせないって何なのよ。
「……花火大会誘えばいいじゃん」
昼休み。
お弁当を食べ終えたあと、悶々と悩むあたしに奈瑠美がさらりと言ってきた。
「“誘えばいいじゃん”って、それってデートだよ! 2人きりだよ! 断るよ!」
興奮してネガティブ発言を連発するあたしに、奈瑠美は呆れたように「じゃあ止めとけ」と冷たいことを言う。
「でも行きたい……。でも誘えない……」
「あのさぁ、今のあんたなら誘えるでしょ? 話ができるようになったんだから」
「けどさ? 他の女子もいっぱい誘うと思うよ? 大勢の中からあたしを選ぶわけないじゃん」
「……あんたさ、本当にあのお母さんの娘なわけ? あんたのお母さんならグイグイいっちゃうと思うけどねぇ」