Ending Note
「……バカじゃないの?」
家に帰ってすぐ、ママに花火大会の計画を話してみると、ママはあたしの妙案を辛辣な言葉で却下した。
「メールや電話じゃダメ。ちゃんと顔を合わせて誘いなさい。これ基本よ?」
まな板の上でキャベツを刻みながらママは淡々と言う。
「でも、あと2日しかチャンスがないんだよ? それを逃したら……」
「何をどう逃すって言うのよ」
くるりと振り返って、ママは鬼の形相で言う。
「2年D組、桜井裕貴。あんたは裕貴くんのクラスも名前も知ってる上に、今はもう見ているだけじゃないんでしょ? チャンスは待つもんじゃないの。自分で手にするもんなの」
「だけど、」
「じゃあ誘うな。花火大会の夜は寂しく女子会でもしとけ」
……ちょっとちょっと。
なんで今回は突き放すわけ?