Ending Note


裕貴先輩と同じ高校に入りたくて、あたしが必死に勉強していたとき。

裕貴先輩は“平川さん”って人と付き合っていたんだ。


どんな人なんだろう。

どれくらいの期間、付き合っていたんだろう。



あたし、裕貴先輩のこと好きなくせに、彼女がいたことなんて全然知らなかった。



“他のヤツと約束してるからって……”



花火大会、“平川さん”と一緒に行くのかな。

これを機に、ヨリを戻すのかな。



遠くに見える裕貴先輩の姿が次第にゆがむ。

目の奥がじわりと熱くなってきて、あたしはこみ上げてくる涙をぐっと堪えた。



「あー、やっぱりいたー」



悲壮感漂うあたしとは真逆に、弾むような声が突然聞こえて、びくりと肩を震わせる。



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