不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
ほのかとの出会いは奇跡だった。

まだこの世に出る前の魂の時、たまたま彼女を見つけた瞬間、

僕の奥底で何かが震えた。


悠久の時を過ごしながら、僕はこの時を待っていたんだと確信した。


それから彼女をもうじき生まれ変わる魂が

多くいたその居場所から連れ出した。

戸惑いながらも手を引く僕に黙ってついてきた彼女…

一緒にいるだけで、心が安らいだ。


それまで、毎日ノルマを与えられた魂の履歴を見て

それに応じて次の生まれ変わる先を決め、この世に送り込む…

ただそれしかなかった僕に、突然色彩が生まれ、華が開いたようだった。

どこに行くときも、何をする時も連れて歩いた…


そうやって出会った瞬間から彼女と多くの時間を共有することができた。

彼女とい居ることはただ嬉しくて楽しかった。


でも、そんな日は長く続かず…

彼女にも生まれ変わる順番が来てしまった。

このまま伴侶にしたいという僕の願いは結局許されず、

彼女はこの世に生を受けた。


今まで考えたことのなかった僕自身の存在することの意味…

彼女と出会って初めて、僕に欲しいもの、誰にも譲れないものができた。

それは喜びであると同時に苦しみでもあった。


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