不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
ほのかに会い一度触れてしまうとカノジョの全てを壊してでも、

ほのかとの触れ合いが欲しくなってしまった。

人間はこうして後悔し、葛藤する。時には狂気に呑まれる。


それは多くの魂の成功や失敗の経験を見てきた僕にとっては

長い間見続けてきた周知の事実だったはず…


でも、僕はその痛みを知っていてもわかっていなかった。

本当に意味でのイタミをわかってはいなかった…

あれから時折でも、経験したことのない苦しさが僕を包むときがある。


せめて、夢に仕立てることで表面上はごまかしてはみたが、

現実にほのかの躰にあれだけの傷跡を残しておいて、

今更何をどうやってごましきろうとしているのだろう?


犯した失態を考えるとなかったことにしたい自分と、

カノジョを壊してただ連れ去りたいという

自分の強い衝動と葛藤するしかなかった。



カノジョがこちらに還ってくるまで…

カノジョをこの手に取り戻すその日まで…

あとどれくらい待たなければならないのだろうか?


神様は残酷なお方だ。

僕の懇願を無視して、こういう試練を平然と課す。


僕が物思いにふけっていると、突然目の前に小さな男の子が現れた。
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