不条理な恋 理不尽な愛 (ベリカ版)【完】
…能力(ちから)(大希)
俺は小さなころから、他人の気持ちが読めることがあった。
都合よくすべてでないが、その人に触れるとその人の思いが聞こえる。
だから俺は初対面の人間には、男女に関わらず握手を求めるようにしていた。
この握手で、相手の気持ちを読めるか読めないかは大体わかるからだ。
これは、人間関係に役立つことがあった。
ただ、以前は聞こえる人間には触れさえしたら、新しいものから、
無制限にいくらでも聞こえてきて鬱陶しい思いもたくさんした。
長年生きてくる間にそうした力をコントロールする術を少しずつ身に着け、
必要な感情だけを引き出すことができるようになっていた。
ほのかには会った瞬間は、一目ぼれだった。
でもほのかの声は、最初のうちは聞こえなかった。
声が聞こえない事がもどかしく、気が付いたら眞人に盗られていた。
二人の様子を見ながら、聞こえない自分にいら立っていた。
能力を持っていても使えなければ意味がない。
俺はある日、たまに夢の中に出てくる俺に力をくれたというヤツが出てきたとき、
「ほのかの気持ちが読みたい。ほのかを手に入れたい。
それさえ叶えばこの力がなくなっても使えなくても構わない。
大切な時に使えなくて、何の意味があるんだ」
と訴えた。
いつもなら、無表情のヤツがこの時だけ微笑んだように見えた。
その時に俺は目が覚めた。涙が頬を濡らしていた。
都合よくすべてでないが、その人に触れるとその人の思いが聞こえる。
だから俺は初対面の人間には、男女に関わらず握手を求めるようにしていた。
この握手で、相手の気持ちを読めるか読めないかは大体わかるからだ。
これは、人間関係に役立つことがあった。
ただ、以前は聞こえる人間には触れさえしたら、新しいものから、
無制限にいくらでも聞こえてきて鬱陶しい思いもたくさんした。
長年生きてくる間にそうした力をコントロールする術を少しずつ身に着け、
必要な感情だけを引き出すことができるようになっていた。
ほのかには会った瞬間は、一目ぼれだった。
でもほのかの声は、最初のうちは聞こえなかった。
声が聞こえない事がもどかしく、気が付いたら眞人に盗られていた。
二人の様子を見ながら、聞こえない自分にいら立っていた。
能力を持っていても使えなければ意味がない。
俺はある日、たまに夢の中に出てくる俺に力をくれたというヤツが出てきたとき、
「ほのかの気持ちが読みたい。ほのかを手に入れたい。
それさえ叶えばこの力がなくなっても使えなくても構わない。
大切な時に使えなくて、何の意味があるんだ」
と訴えた。
いつもなら、無表情のヤツがこの時だけ微笑んだように見えた。
その時に俺は目が覚めた。涙が頬を濡らしていた。