不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
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ほのかの意識の中に入り込んだ。

畳の上に敷かれた布団の中にいる何も身に纏っていない男女の姿。

これはほのかの抱く妄想の世界のことなのだろうか?

それとも現実に起きたことの記憶なのだろうか?

顔を見なくても分かった。男はまちがいなくアイツだろう…

俺の目の前で、アイツはほのかを抱きしめている。

ほのかの艶やかな肌は熱を帯び、一気に色気を増していた。

俺の知らないほのか…

胸が締め付けられて思わず目をそらした。

視覚は遮断されていても、耳から艶っぽい情事はいやが上にも流れ込んでくる。

「月、きれいだね」

とつぶやいたその声はとても幸せそうに聞こえた。

こんな幸せそうな夢を見ているのに…

「君の方がもっときれいだよ」

あいつはそう言って、リップ音がした。

アイツがほのかにキスする姿なんて見たくもない…

その次の瞬間、俺の肌に感じる周りの空気が変わった。

ハッとして目を開けると、目の前には1枚の紙が出てきて…

あっ、またこれだ。


『お前はひとりなんだ』

『お前は捨てられたんだ』

『お前に魅力がなかったんだ…』


その声にほのかが頭を抱えて首を左右に振って拒絶して…


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