不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
『「やばい!!!!」』意識の途切れを感じた俺は手を離してあわてて横になった。

心臓はこれ以上ない位に暴れていたが、

とにかく意識して動かないように躰を固め、ただ気が付かれませんようにと祈った。


隣りでがばっと起き上がる気配がする。

やっぱりそうだった…

とにかく間に合ったことにほっとした。

そして、周期的な息をしながら寝ているふうに装った。

でも意識は隣で起きているほのかに集中していた…

しばらく身じろぎしていたが、俺の隣に再び横になる。


呼吸に気を配りながら、頭の中はほのかの事でいっぱいだった。

この頃見てなかったはずだよな?それなのにまた手紙の夢を見てるなんて…

昨日ほのかに何かあったんだろうか?

俺は寝返りを打つふりをしながらほのかの方に体を向け、覆いかぶせた。


両腕の中に包み込むように抱きしめながらその温もりを直接肌で確かめた。

少し汗ばんでいるような気がしたが…

躰の力は抜け、寝息は規則的だった。

そのまま首筋に唇を寄せて、彼女の薫りを思いっきり吸い込む。

ほのかがこの腕の中にいる…

それはそれだけでとても幸せで安心できることのはずなのに、

人間はもっと欲しいと欲張りになる生き物だった。

何かが起こる前兆なのか?

不安に思いながらも、俺は明日のために無理矢理眠りについた。
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