不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
「キャー――」と奇声を上げながら、瑞希は自転車をこぐ。

それからしばらくの間、瑞希は色々な自転車に乗り、

一人で乗れないものは私たちの手を引き一緒に乗って

何周も何周もグルグルと回っていた。


私はデジカメやビデオを構えその姿を残そうと走り回った。

でも一番大切なのは、何かに残すだけではなく、

その姿をその目で直接見て、その心に焼き付ける事…


私は、しばらく撮った後で、カメラとビデオを置き、

何よりも喜んで楽しむ瑞希の姿を目に焼き付けた。

目の前を走る瑞希が私を見つけてこちらに向かって微笑んだ。


その姿を見ていると、自然に涙がこぼれた…

この子を産んで、この子が私の所に来てくれてよかった…

本当に本当によかったと心から思えた…


普段はどうしても夫婦して仕事が忙しいので、我慢させてしまうことが多い。

それでも、反抗することなく従順な瑞希。

イヤイヤするはずの時期にもそんなに困らされることはなかった。

私が情緒不安定な時があるからなのだろうか…

時々、おとなし過ぎて従順な事が不安になる時がある。

子どもは子ども。しつけは大事だが、それでも彼らしくのびやかに育ってほしい。
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