不条理な恋   理不尽な愛  (ベリカ版)【完】
「この頃調子が良いと思ったので、半年に一度はと

思っていたのですが、なかなか来られなくてすいません」

「いいですよ。それが何よりですから。

ところで、今日は何か気になることがあったんですか?」

私は思っていることを話した。出張の事、悪夢の事、そして夫婦の事…

「ご主人は、あなたの気持ちをわかってくれないんですね」

「そういうわけではないんです。

たぶん主人はリスクを考えると、無理だと言いたいだけなんでしょうけど…」

「でもあなたは、納得できないんでしょう?」

「はい。主人は私以上に私を大切に思ってくれているのはわかるんです。

でも諦めたらそれ以上何も変わらないんです」

「確かに。諦めたら終わりかもしれない。では諦めるのではなく、

一度今の状況を立ち止まって確認してみたらどうですか?」

「確認する?」

「少し焦りすぎていませんか?

確かに年齢的な時間の問題はあるかもしれません。

これは私の個人的な意見なので、

本来はお話しすることではないのでしょうが…」

「先生…」

「少し立ち止まって、ご主人ともう一度向き合ってみられたらどうですか?

話し合う事で、佐々木さんの思う方向に行くとは限りませんが…

押してだめなら引いてみる…

他の解決方法が見つかるかもしれませんよ」

先生はそう言って私に微笑まれた。


私はなぜか、そうしてみようと思えた。
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